SKYLINE GT-R (KPGC10) オーバーフェンダーの製作

ここでは当社ハンドメイドでの物作りFRP工法によるハコスカGT-Rのオーバーフェンダー、元型(マスター)からの製作レポートになります。メス型・オス型、双方の型で挟み込みによる純正レベルの再現です。FRP工法に興味があったり、これから製作にチャレンジされる方の参考になれば幸いです。今回はオリジナルのR/フェンダーの車体に純正のオーバーフェンダーを装着しマスターとしメス型を作ります。これ以上のないベストな形状で型をとる訳です。先ずはお客様からお預かりの純正オーバーフェンダーをビスで完全固定。ワレ部分と共に各所形状をパテで整え修正します。車体側のスキ間、ビス部分もパテで埋めてフラットに仕上げておきます。ここでの仕上がりレベルがメス型の精度となります。純正部品は意外と面精度は良くありません。何度も何度も面精度を整え仕上げます。余談ですが今回お預かりした純正のオーバーフェンダー、樹脂の劣化が激しく全面ヒビ状態。高価だったオーバーフェンダーだったと聞きますが、おそらくこのまま修理〜塗装しても劣化した樹脂はいずれ破れてきます。

各所形状が整ったところでサフェーサーを塗布。乾燥後さらに面精度をチェックし2度目のサフェーサーを塗布します。マスキングをしメス型部をマスキングをして離型剤処理、サフェーサーが艶が出るくらいツルツルに仕上げます(写真左上) ゲルコートを4〜5回ぐらい塗布します。約半日ほど乾燥させガラスマットを積層。約5〜6枚、一枚一枚ゆ〜くり積層します(写真右上〜左下) 翌日分離(写真右下) これが車体に装着された形状のメス型になります。

分離したメス型の縁周りを研磨し仕上げて、再びマスターである車体へ装着します(写真左上) 板を切り出してメス型へ接着。板をテープで圧着させガラスマットと樹脂で板とメス型の間に盛り付けます(写真右上) この時、板をあまり強引に密着させない事!板にストレスがかかると分離時、板にメス型が引っ張られて歪みの原因になります。テープでの固定ぐらいが良いと思います。 写真各下側、これが車体に装着した形状のオーバーフェンダー、メス型になります。そして、更に補強は続きます。

前後に補強が入ったところで再び車体に装着。次は前後補強と上側を連結!前回同様、合板はガラスマットを積層し固定。補強合板がメス型に影響が及ばないよう、たとえ合板同士でもストレスかける事ことが無いようにします。一般的なメス型のみでの製作であれば十分な強度ですが、今回のプロジェクトは挟み込みでの製法!メス型の高剛性は絶対条件です。

メス型に数プライ積層して作る一般的な方法ですと型作りはこれでほぼ完了ですが、今回は純正部品同様のオス型も製作しての挟み込み製法。この時点でオス型の製作に入ります。メス型にゲルコートを塗布しガラスマットを約7〜8プライ積層します。一気に厚く積層すると硬化反応熱で歪みが出ますのでゆ〜くりと時間をかけて行います。写真右下は硬化後分離したところ、厚さ約8mmのゴツイオーバーフェンダー(オス型)が出来上がりました。

補強はメス型と同様に入れます(写真左上) これは挟み込み時の単なる剛性強化だけではなく、これから挟み込み時の様々な展開に対応できるようにするためです。では先ず補強部に角材を挟みメス型とオス型のクリアランスの確認です(写真右上、写真左下) 約4mm浮き上がったところで角材を固定。これが挟み込んだ時のオーバーフェンダーの厚みになります。